2025年現在、日本の民間旅客機としてはANA WINGSと琉球エアコミュータ(RAC)が保有しているカナダのデハビラントカナダ社のDHC-8-Q400シリーズ。2003年頃から飛び続けて現在もなお地方路線の主役で活躍している。
この機体は「ボン Q」という愛称で呼ばれるが、導入当初は同じカナダのボンバルディア社で生産されていたこともあり、そういう愛称がついたのだろう。その後、ボンバルディア社は航空事業から撤退し現在のデハビランド社(実際は2代目)が引き継いでサポートしているものの新造機の生産はしていない様子。
すでに就航から20年以上経過する機体も多く、ANAは少し前には2026年目途で退役させるとのアナウンスをしていたが、予定してたMRJの開発中止などがあり代替機の選定、導入までの間のつなぎとして7機のメーカー認定中古機を導入することになった。
この機体の定員は74人、航続距離は約2000km、巡航速度は667km/hというジェット機に近い速度で飛ぶことができる上、地方空港の短い滑走路でも離着陸可能。特に沖縄南西諸島を結ぶ路線では重宝な機体だと言える。
DHC-8は現状首都圏である羽田空港や成田空港ではあまり見ることはない機体である代わりに伊丹や福岡では地方の都市を結ぶ機体として数多く見ることができる。 飛行機写真の被写体としても、プロペラ機ならではの疾走感を表現することもできる反面、ジェット機撮影にはない難しさもあり奥が深い。
高速で回転するプロペラだが、SS 1/320以上になると止まってしまうので、1/100前後のSSで撮りたいが、機体がブレてしまうので流し撮りにならざるを得ない。その分、上手く撮れた時は一際達成感がある。
現状日本でターボプロップ機として活躍する機体として他にはフランスのATR社の機体があり、現在はJALグループの日本エアコミュータ(JAC)、北海道エアコミュータ(HAC)、および天草エアラインが運行している。この機種は現在も生産されていて、昨年新規参入就航した新潟のTOKIAIRが導入していたり、今後新規参入が計画されているJCASエアーが導入することを発表している。
ターボプロップ機の新造機がないことで今後ANAは現在のDHC-8-Q400に代わる機種をどのようにするのか注目だが、現状はATR導入の噂は聞かれない状況で基本的にジェット化する可能性が高いかもしれない。
飛行機写真マニアとしてはジェット機とは違ったキャラクターであるターボプロップ機の存在は被写体としては欠かせないものであり、中古機とはいえ当分の間この機体の撮影が楽しめることは喜ばしい限り。